お金が経済危機を引き起こすってどういうこと? (8 最終回) by ピーター・シフ 

以下は2,3年前にロン・ポール主催の集まりでピーター・シフが行ったレクチャーです。
オーストリア学派の基本的な考え方を分かり易く説明しています。


(33:37→41:00)

今度銀行が破綻する際に、中央銀行が正しいことをして金利を上げれば、銀行が破綻して債権者がお金を失うだけでなく、預金者もお金を失うことになります。なぜなら、政府が国の借金を返せないのに、どうやってFDIC(連邦預金保険公社)を救済することが出来るんですか?どこからそんなお金が出てくるというんですか?なので、とてつもなく大きい損失が出るということになります。

アメリカ政府の政策の全ては、最後の審判の日を次の選挙の後に延期するように設計されてるんです。議会が考えてることはそれだけです。「大変なことが起きないようにどうやって2012年をやり過ごすか?」彼等は自分たちが推し進めている政策が全ての問題をより悪くしていたって、そんなことどうでもいいんです。経済を見てください。彼等は「あぁ、経済は成長していますよ。GDPを見て下さいよ。」と言ってます。

経済は成長していません。私達はより多くの借りてきたお金を使っているんです。こんなの経済成長じゃないですよ。国の負債を見てください、オバマが大統領に就任して以来、ここ2,3年で負債がどれだけ急激に膨らんだのかみて下さい。負債はGDPなんかよりずっと成長しています。これら全ての消費が負債で賄われているんです。こんなの本物の繁栄じゃないですよ。インチキです。こんなのバランスシート(貸借対照表)の片側だけ見てるのと同じですよ。資産のところだけ見て、全ての負債を無視しているのと同じです。または、損益計算書を手にとって、収益のところだけを見て、経費のところを見ていないのと同じです。GDPが上がったからと言って状況が良くなっているのではないんです。GDPが上がって(負債がGDP以上に増えているので)状況はより悪くなっています。

それらのお金はどこから来たんですか?借りたんです。で、それをどうしたんですか?消費するために使ってしまいました。投資もしませんでしたよ。設備を買ったりしませんでした。私達はその借りたお金を吹き飛ばしたんです。政府が使ってしまいました。

(訳者:現在、日本の政府は借りてきたお金を公共事業で吹き飛ばし続けてる最中です。)

1990年代に中央銀行が安いお金を供給した結果、起きたバブルは、株式バブルでした。
そのバブルがはじけた時、市場が自然に問題を修正するのを許す代わりに、私達は意図的により多くの刺激策を導入し、それが不動産バブルを起こしました。

不動産バブルがはじけた時、「前回のバブルの後間違ったことをしてしまった。今回は正しいことをしよう。市場に問題を浄化させよう。」と認める代わりに、もっと辛い不景気を経験することを私達は選んだんです。

バブルの度にちゃんと治療しなかったために、弾けた時に起きる不景気はより辛いものになっていったんです。で、住宅バブルのあと、現在、私達は国債バブルを膨らませています。国債バブルは住宅バブルより大きいです。株式バブルより大きいです。で、このバブルも破裂しますよ。今まで破裂したバブルと同じようにね。このバブルだけは破裂しないなんてことはないですよ。そのの兆候は国債市場にも現れていますし、通貨市場にも現れています。

私達が通貨を印刷し続け、巨大な不均衡を作り出し、通貨を安全でないものにしてしまった結果、これからやってくる本当の危機は、公的債務危機です。アメリカ国債の崩壊です。そして現在ヨーロッパで起きているユーロ通貨の崩壊よりももっと大きなスケールで起きるドルの崩壊です。

覚えていますか?住宅バブルに最初にヒビが入り始めた時、最初にサブプライム市場にサインが出たんです。TVに登場した政府やウォール街のエキスパート達はみんな「心配はいりません。状況はちゃんと管理されています。サブプライムだけのものですよ。とても小さな問題です。心配いりません。市場は安全です。」と言っていました。

その同じ時、私は「それは嘘です。これはサブプライムの問題ではないですよ。住宅ローン全体の問題です。住宅ローン全体の問題の最初の症状がサブプライムに出ているということです。症状がすでに出ているということです。感染を広がるとかそういう問題ではない。みんなすでに病気になっているんです。ただ症状が出るのに時間がかかっているというだけのことです。」と言っていました。

(訳者:Youtubeにピーターシフが当時様々なTVに登場し、発言して、ケインズ学派のエコノミスト達に笑われている映像が沢山アップされています。当時ケインズはみんな「問題ない」と言っていました。ケインズ学派の世の中は誰も当時ピーターの言っていることが本当になるとは思っていませんでした。オーストリア学派はみんなピーターと同じことを言ってましたが。)

同じことが公的債務の問題でも言えます。これはイタリアの問題でもなく、ギリシャの問題でもなく、アイルランドの問題でもないんです。これは負債の問題なんです。で、アメリカはヨーロッパより多くの負債を抱えています。

アメリカがお金を印刷出来て、そのお金が世界の基軸通貨だからといって、私達だけはこの法則から逃れられるというわけではないんです。現在、国家が責任を問われるという歴史的に重要な時を迎えています。イタリアとギリシャが、国民の支払能力を超えたお金を借りたように、アメリカも国民が絶対に支払えるはずがない規模のお金を借りています。

これらの借金を税金を1%上げたくらいで返せません。(すでに)税金を99%引き上げても支払えないんです。国家の歳入全てを返済に充てても支払えないんです。

(訳者:多分、日本の負債も似たようなレベルなのでは?こないだ池上彰さんの番組で、「日本の国の借金は年収500万円世帯当たり、1億円」って言ってました。それがホントなら、どんなに頑張っても絶対に返せないと思います。しかも国の借金は1秒間に330万円づつ増えてるそうです。税金払うのがほんとにイヤになります。バカバカしい。)

改革をしなくてはならず、いずれかの方法でデフォルトをしなくてはならないんです。
デフォルトには2つの方法があります。

私達は合法的にデフォルトすることが出来ます。
これは議会が債権者に「これらの国債に対して100%支払えません」と伝えます。そして公的年金や社会保障の給付金を受け取っている人達、これから受け取るつもりの人達に「申し訳ないが、お金がないので約束した通りのお金全てを渡すことが出来ません。」と伝え、減額して少しでも渡すことが出来るようにします。

或いは、通貨を紙切れになるまで印刷するか、です。そしたら「1コンチネンタルの価値もない」ではなく、「1連邦準備券の価値もない」って言わなくてはならなくなります。

--(訳者)-------------------
「1コンチネンタルの価値もない(not worth a Continental)」はアメリカの慣用句で、「一文の価値もない」という意味です。コンチネンタルとは18世紀にアメリカが独立戦争でイギリスと戦争をしていた時に、使われていた通貨(不換紙幣)です。戦争費用を捻出するために印刷しすぎて紙切れになってしまいました。なのでアメリカでは「 一文の価値もない」という時に「1コンチネンタルの価値もない」と言います。
-----------------------------

いずれにしても、アメリカにお金を貸している人達はお金を失います。貯蓄をしている人達もお金を失いますし、債権者もお金を失います。お金を返してもらえないか、返してもらったお金に価値がないか、どちらかです。
(訳者:これと似たような質問で、ウンコ味のカレーとカレー味のウンコどっちがいい?って小学生の時に聞かれたことがあります。)

問題なのは、長く待てば待つほど、みんなにとって悪い状況になることです。そして経済に対するダメージがより大きくなるんです。なぜなら、これらの悪い投資がどんどん増えるのを待てば待つほど、崩壊する時の影響が大きくなります。そして問題を修正して市場の均衡を取り戻すのがより難しくなります。

市場の均衡を取り戻すプロセスの一部は安定した通貨に戻ることです。金本位制に戻ることです。私は世界が金本位制に戻ると思っています。分からないのは、それまであとどれくらいかかるのか?そしてゴールドはその時いくらくらいになるのか?

しかしとにかく、金本位制に世界が戻れば、議会に規律が戻ってきます。なぜなら議会は納税者からお金を徴収しないとお金を使えなくなるからです。私達はお金をただ印刷することが出来なくなり、貿易赤字を膨らませることが出来なくなり、何かを輸入するのであれば、何かを輸出しなくてはならなくなります。輸出出来なければ、支払いにゴールドを渡さなくてはならなくなります。これが市場に均衡を取り戻させるものなのです。

長く待てば待つほど、間違いが積み重ねられ、問題を解決するのがより大変になります。

私達の自由に対する本当の脅威は、、、これからやってくるこの本物の危機、経済危機、金融危機は2008年に起きたものよりずっとひどいものになります。問題なのは、これらの全ての問題は政府が起こしたものです。政府が経済に干渉した結果、これらの問題が起きたんです。政府はこれら全ての、歪み、規制、助成金、お金の印刷を作り出しました。しかし、政府は自分たちの作り出した問題の責任を資本主義に擦り付けています。政府は資本主義と社会主義をごちゃまぜにして、問題を作り上げ、「ほら、資本主義は機能しないんですよ。あなたたちにはもっと大きな政府が必要なんですよ」と言い、政府をより大きくします。するとより多くの問題が作り出されるんです。

で、今回の問題はとてつもなく大きな問題なので、最終的に全て政府が支配する社会になってしまうかもしれません。(訳者:社会主義国になってしまうかもしれない、ということ)そうなると、私達のこの国の骨組みが完全に変わってしまうことになります。

だから議会には、これらの問題の根本原因をちゃんと理解している人達が出来るだけ多く入っている必要があるんです。これはあなたたちが誰に投票するかにかかっているんですよ。これらの問題が作り上げられたのは、「自由過ぎたから」でも「資本主義が過ぎた」からでもないんです。真逆です。政府が、市場に介入し市場を歪ませ、全てを細かく管理しようとした、そして、これらの全ての問題が作られたんです。

解決方法は市場に存在するんです。
解決方法はより大きな政府ではありません。より小さな政府が解決方法なんです。


市場を歪ませたこれらの全ての法律や規制を取り払い、安定した通貨(金本位制)に戻ることです。それをすれば、本物の経済成長と本物の発展を手に入れることが出来ます。

ちょっと我慢して痛みを受け入れなければならないですがね。苦い薬のようなもんです。でもそれで治るんだったら、それを飲まなくてはなりません。でももしあなたが病気でないフリを続けたり、症状を隠し続ければ、病気はどんどん悪くなります。それは間違った方向です。

では、質問を受け付けます。

(訳者:ここで終わりにします。)

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大変素晴らしい翻訳!
いつもありがとうございます。

No title

翻訳お疲れ様です。

うーん。素晴らしい。古来よりの経済、お金の考え方、正に王道です。
よくぞ受け継いでくれたと感謝します。

最近、何故に日本はこんな、社会問題をテンコ盛り抱えたのか?。
少子高齢化、財政危機、過疎化、待機児童・・・・等々。自分なりに考えた結果、一つの答えにたどり着いてます。

古来より日本は循環型経済で上手く回ってました。農村の大家族型のライフスタイルです。そこには、古き良き日本人の生活が有り、今より貧しかったと思いますが皆、相互扶助で楽しく暮らしてましたよ。現在の社会問題は一切ありませんよ。

それが、戦後アメリカにより、国は消費型核家族のシステムを奨励します。
住宅ローンを組み、マイカーローンを組み、生保に加入。気が付けばパンを食べ小麦を使う、肉食の生活になり、ガソリンを使う。いつの間にかアメリカの思う壺のお客さん。嫌、奴隷ですよ。

鉱物資源、エネルギー資源も無い国を永きに渡り支配するには、自分達の消費型経済にすれば簡単なのです。戦略的にここで大きく殺られてます。

近く起こるであろうリセットでコツコツを一気に盗まれ、貧乏するのは虚しいですが、日本にはアメリカ型の消費型経済は土台無理なのですよ。恐慌ともなれば、都市型のライフスタイルを送ってる人々も生活に困窮し、田舎へ地方へと大量に移動するでしょう。
今一度、古き好き日本の循環型のライフスタイル考え直しても好い時期ではないでしょか?。長い目で観ればやっぱり農耕民族なのですよね。
大きなリセットは古き好き日本に戻す1つのチャンスかと思います。



別件で私も原発反対です。
私は放射性物質の汚染で広大な土地が死んでしまった「資産価値ゼロ、農業も居住も許されない」のを見て、「こりゃ東京もそのうちゼロだな。」今の内に売り逃げるかと真剣でしたよ。
そもそも、無害化出来ない最凶の猛毒「プルトニウム」を地震、津波、台風で形成した海岸線に原発を作るとは政府や東電はクレージーですよ。既得権と言うか欲というか、お金はここまで人を盲目にしてしまうのですかね。


Re: タイトルなし

> 大変素晴らしい翻訳!
> いつもありがとうございます。

こちらこそ、ありがとうございます。

Re: No title

>住宅ローンを組み、マイカーローンを組み、生保に加入。

普通疑わないですもんね、「それが幸せなんだ」ってみんな思ってローン組むんでしょう。
親の世代はそれらに乗せられてローン組んでも上手くいったんですよね。親がローンで買った家で殆どの人は問題なく育ったから、それが普通なんだ、上手くいくのが当たり前なんだと、フツーは思うと思います。
ただ親の時代の国の経済状態と、今の国の経済状態は全く違うんですよね。。。

家族と家を守ろうと、一所懸命働いてローンに追われつつ子育てしてる友達のことを思うと、本当になんと言っていいのか分からないです。。。なので、彼女たちには何も言ってません。。。ていうか、いえないです。。。

No title

核家族ですから、新天地でゼロからスタートするわけで、土地、家、マイカー、家電品、を揃えるので企業は儲かり、ローンになるので、銀行が儲かります。固定資産税等で国、地方は潤います。

生活を守ってくれる、生産に強力してくれる家族等、もいないので生保に入らなくてはなりませんし、託児所も必要その他・・・食生活も欧米化し、生活するのにお金がかかりすぎる状況になります。

それらのお金が回りまわってシステム「アメリカ」が儲かる。これってケインズ派の人が作ったのですかね。・・笑。
オーストリア学派の人が言うシステムに似てませんか?。

農村型の大家族では掛かる経費を最少に抑えられる生活を送れます。
私も最悪の事態では食糧不足で、私も農村部に引っ越します。覚悟してます。

嫁にさんざん建売欲しいとせがまれ、私はローンは危険だ。子供に金がかかるタイミングが悪いと先伸ばしてきましたよ。女子にとっては夢のマイホームなんですね。

最近、ママ友で夫がリストラでローンが払えず競売に借金地獄で一家離散。悲惨ですよ。
給料を下げられギリギリに追い詰められたローン地獄の予備軍が沢山まわりにも居ますよ。

恐慌になったら日本中、ローン地獄だらけでどうするんでしょうか。

嫁も最近、私のいう言うことが少しは理解出来た様で「ローンはダメねとかいってますよ。」気が付いてくれただけ儲けもんですよ。

毎度、長くなりすいません。思ってること書けるのこのブログ位しかありません。ゴメンナサイ。

Re: No title

> それらのお金が回りまわってシステム「アメリカ」が儲かる。これってケインズ派の人が作ったのですかね。・・笑。
> オーストリア学派の人が言うシステムに似てませんか?。

そうです、ケインズと、アメリカ政府と、アメリカの中央銀行は仲間です。この3者は深く繋がってます。

でも儲かっているのは、銀行ですよ。(あと好きなだけお金が使える政府)アメリカ人は可哀想に、日本人以上に貧しいです。ジムシンクレアが言っていたように、人口の訳半数がフードスタンプを受け取っています。
アメリカ国民の置かれた今の状況は日本以上に悲惨です。

アメリカ人は自己責任の概念が強いので、辛くてもあまり騒がないんですよね。日本人以上に我慢強いです。日本人はすぐに「政府が悪い」とか「社会が悪い」ってさわぐでしょう?アメリカ人はこういうところがないんですよね。ちょっとやそっとじゃ泣き言を言わないんです。「自分の責任だ」って考える人が多いんです。さすが開拓者の子孫って思います。すごい根性がある人が本当に多いんです。その代わり彼等の本当の限界が来たら、多分騒ぎは日本人の想像を絶する騒ぎになると思いますが。。。

「マネーを生み出す怪物」っていう本を是非読んでみてください。オーストリア学派の人達はみんな読んでます。そしてこの本を推奨しています。日本語版は絶版になっていて値上がりしているので、図書館にあると思います。

全ては大銀行家たちが計画したことです。
アメリカの中央銀行は大手銀行がカルテルを結んで作り上げたものだそうです。FRBの株主全部アメリカの銀行じゃないですか?日本の中央銀行の株主も全部アメリカの大銀行です。

銀行が儲けてるんです。ロスチャイルドとか、JPモルガンとか。国境は関係ないんです。

エコノミックヒットマンが「IMFや世界銀行が途上国にとうてい支払えないくらいの巨額のお金を貸付け、奴隷化してその国の資源を得るって説明してたんですが、それと同じ仕組みだと私は思いました。

個人レベルでも「お金を貸して奴隷化する」っいうことがアメリカでも日本でも、行われてるんです。

明日アップする動画を観てください。
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